落ち着いている

締め切りまで何もしない

電話をとらなくてよかったわね

旅の途中で立ち寄った知らないまちの定食屋で、ここらあたりのおすすめの場所はありますかと聞くと、角の理容院だという。
なんでもパンの形にヘアカットしてくれるそうだ。
面白そうなので行ってみると、こじんまりした昭和の民家で開業していて、席数はわずか3つしかない。これが意外と賑わっていて、すでにお客が2人いた。
こんにちは。どの髪型になさいますか。と渡されたのは一枚の藁半紙。そこには手書きで4種類のパンが描かれていた。クロワッサン、クリームパン、チョココルネ、もうひとつは見たことのないパンだった。
どれにしようか悩んでいると、場面が切り替わり、私は古い商店街で店番をしていた。電話があればとり、用件をメモする。電話は黒電話だった。
一度、ジリリ、と短く鳴って電話がきれた。不思議に思っていると、隣の店の女の子が教えてくれた。
時計をみてごらんなさい、と。
商店街の時計は14時過ぎをさしていた。しかし、ラジオの時報は17時を知らせている。
この街は、ときどき他のところと時間がずれるのよ。さっきの電話はその時間がずれる、ちょうどのタイミングでかかってきたから、すぐにきれてしまったのね。
そういうことがときどきあるの。もし、そういうタイミングの電話にでると、とてもよくないことがおこるらしいわ。
女の子はそう説明してくれた。よくないこと、なんだろう。
ふと商店街の時計を見ると、17時過ぎを指していた。時間が戻ったのだ。
私と女の子は店じまいをして、それぞれの家に帰った。

という、夢を見た。