落ち着いている

締め切りまで何もしない

それであいこになるのなら

今すぐにキャラメルコーン買ってきて


佐藤真由美さんの短歌をはじめて読んだのは、もう10年以上も前のことになる。

あのとき、私はこどもだったから、彼女のちょっと悪くて大人っぽい短歌はとても魅力的だった。いつか私も大人びた恋をして、寂しさに涙する日がくるのだと漠然と思っていた。


この有名なキャラメルコーンの歌は、人によって解釈が様々みたいだ。

狂気じみていてこわい、とか、お菓子のかわいい雰囲気で殺伐感がやわらいでる、とか。


きっとこの主人公は、相手の男性が離婚しないことをわかってて、でもそれだと関係がイーブンじゃないから、絶妙なわがままを言って男性を許してあげてるんだと思う。

彼女のキャラメルコーンと、男が妻とわかれないこと。

どちらか一方だけ悪い関係は、悪い方の居心地がよくない。だから彼女も深夜のかわいいわがままを言って、自分も少し悪くなって、イーブンにしてあげてるんだと思った。

そう考えると、とってもいじらしい。

健気な女性のうただと思う。