落ち着いている

締め切りまで何もしない

樫の木のこと

マンションのベランダから、大きな樫の木が見える。

隣接する民家から生えているが、その家には誰も住んでいないようなので、おそらく勝手に成長しているのだろう。

わたしが住んでいるのは南向きの部屋だが、その樫の木のおかげで直射日光はあたらず、涼しい。風が吹くと、葉がこすれる音がきこえて心地よい。

休みの日の午後、窓をあけて本を読む。樫の木が見える。

まるで永遠の時間ような気がするけど、私はもう若くないし、近々清算しなければならない人間関係もある。

でもいつかこの部屋を出た後も、樫の木のことや、この部屋で過ごした人々のことを懐かしく思うだろう。