落ち着いている

締め切りまで何もしない

終焉

あっけない終わりだ。


彼に、ほかの男、しかも複数とセックスしたことを話した。セフレなのだから、楽しく話を聞いてくれるのかと思った。


しかし、予想に反して彼はかなり動揺していた。怒り、悲しみ、申し訳なさ。いろいろな感情が彼の中にあるようだった。


付き合えない、でもセックスはしたい。

欲望を満たすために私は道具のように使われる。

待ち合わせに当然のように遅刻し、こちらからの連絡は全てスルー。


そんな彼が、私の身を案じて怒っている。

衝撃だった。


そもそもなぜこんなことになったのか、振り返ってみた。


彼と出会う前、私は1人だけお付き合いしていた人がいた。4年付き合ったその彼はEDだったため、セックスをしたことは一度もなかった。


彼とは会って2回目でセックスをした。本来の私は性欲が強い方なので、そのこと自体は別に問題なかった。問題は、私たちは付き合うとかそういう確認をしていなかったことである。その後はセックスしかないデートが続いた。彼の中出し願望をかなえるため、アフターピルも2回服用し、最終的に低容量ピルを服用し始めた。夜中にこっそり家を抜け出し、カーセックスだけして家に帰されるという日々が続いた。


セックスだけがないデート、セックスしかないデート。両極端すぎて、少しずつわたしの心は疲れ始めていた。


悲しくなった私は、ある日彼に問い詰めた。私ってなんなの?彼女なの?付き合えないの?セフレなの?と。彼は、私にはこれからいろんな出会いがあるから、それを邪魔しないためにも付き合えない、でもセフレではない、といった。普通ならここで終わりだ。でも、アホな私は、彼女ではないがセフレでもないという、なんとも都合のいい存在を継続することにしてしまった。


転機が訪れたのは、春先。私は一人暮らしを始めた。いろいろ理由はあったけど、一番は彼にもっと会えると思ったからだ。お揃いのお茶碗やマグカップを選んだり、枕を2つ揃えたり、お金はかかったけど楽しかった。


しかし、いざ一人暮らしをはじめてみると、彼にはほとんど会えなかった。忙しい彼にとって、私の優先順位はかなり低く、次第に先の予定も決めなくなってしまった。せっかく買った食器も、一度も使わないまま、春が終わった。


この頃から、私はどうせセフレだもんね、という感情が大きくなってきた。少しずつ、自己肯定感が小さくなり、自暴自棄な思考にとらわれるようになった。


夏がくる少し前、私は初めてほかの男とセックスをした。その彼は女性に慣れていない様子で、初めてあった私のことを好きと言ってくれた。このときは、彼に対する腹いせのような気持ちだったと思う。そもそも付き合ってないし、だれとセックスしようがわたしの勝手でしょ、と思った。目の前の不慣れで優しい男のことは、微塵も考えていなかった。


不慣れな彼とは一度きりだったが、そのときの私には罪悪感などまるでなかった。


そして夏がきて、私は誕生日を目の前に、結婚したいと考えるようになった。このタイミングで、例の優しい男と出会う。


優しい男は恋愛に対して冷めていた。長く付き合った彼女と別れ、人を好きになるという気持ちを忘れてしまったようだった。


年も近く、話も合った私たちはすぐに仲良くなった。セックスもしたし、かなりの頻度で会っていた。しかし、恋愛に冷めた彼は、彼女はいらないと言った。私もまぁいいか、と思った。とにかく、会いたいと言ってくれるのが嬉しかった。


彼のことを考える時間は少しずつ減っていった。真夜中の電話にもでなくなったし、私はこのまま彼のことを忘れられるのではないかと思った。


しかし、そう簡単にはいかないものである。私は優しい男にいろいろなことをしてあげていた。洗濯、料理、男の日々の雑用…それに対して男はありがとうと言うだけ。勝手に尽くして勝手に疲れるいつものパターンに陥り、次第に彼に不満を抱くようになった。


ある日、優しい男と口論になった際、次に付き合う人とは結婚を考えたい、だから私とは付き合わない、と言われた。スッと気持ちが引いていくのがわかった。この男もまた私とやりたいだけだったのか。


そんな頃、彼が遅れて私の誕生日を祝ってくれることになった。誕生日のことは以前のブログに書いた通りだが、とにかく彼からはっきりとセフレ宣告される。


彼とも、優しい男とも上手くいかなくなった私に、クリスマスが近づいてきた。クリスマス。私の密かな夢は、クリスマスに好きな人からアクセサリーをもらうことだった。しかし、彼も、優しい男もクリスマスにデートはしてくれない。そしてまた、私は彼氏をつくらなければ、と焦りはじめた。


冬、優しい男は友達になることで決着をつけたが、彼のことは好きなのでどうしようもなかった。


そして3人目の男と出会う。目つきの悪い彼は、食事後いきなり付き合ってほしいと言った。俺の命令には従うように、と。私は、この強引な男なら、彼のことを忘れさせてくれるかもしれない、と思った。流されてセックスをする。しかし、私はこの男のことをどうしても好きになれなかった。セフレでもいいから、と男は言ったが、私は無理だと言った。ふと、彼も私に対してこういう気持ちなのかなと思った。セフレでもいいから、という私を、気まぐれにつなぎとめているだけなのかな、と。


時間をあけず、4人目の男に出会う。趣味も合うし、優しいし、とにかく大丈夫かと思ったが、だめだった。なぜかというと、うまく行きそうになった瞬間、私はこう考えてしまったのだ。


彼を諦めなくちゃいけなくなるよ、と。


彼を諦めるためにやっているのに、彼を諦めたくないから彼ではない男を振る。だんだんわけがわからなくなってきていた。



彼との関係は修復不可能になった。

でも、これでよかったのだ。


私はこうして、彼を傷つけ、自分も傷ついて、全く関係のない男たちも傷つけ、この関係を終わらせることに成功したのである。


誰も幸せにならない、最低な出来事だった。