彼は真夜中に家にやってきて、1人でお酒を飲んでいた。体調がすぐれない私は、すっぴんで部屋着のまま、ベッドで横たわっていた。
その日は大事な女性部下と初めて食事をした夜だったそうだ。
ご機嫌な彼はいろいろなことを話してくれたけど、女性部下への言葉でとくに印象に残っていることがある。
もういい子でいるのはやめていいんだよ
聞いた彼女はどんな気持ちだっただろう。
その頃から、どう考えても私は都合のいい女だったので、ベッドでぼろぼろの姿をさらしながら、死にたい気持ちになっていた。
彼女がとても大事にされているとわかったと同時に、なんだか自分がすごく惨めに思えたからだ。
感慨深げに部下のことを話す彼。私のためにコアラのマーチを買ってきてくれたけど、吐きそうな今、食べられるはずがない。もっと目の前の私を見て欲しい。
いまだに夜中に思い出しては、こうして気持ちを整理しないといけないくらいには、心えぐられるできごとだった。