沿線に住んでいる
私の家は線路の近くなので、耳を澄ませると電車がゴトゴト通る音が聞こえる。
これは夢かもしれないけど、
彼はうんと年上の女性とお付き合いしていたことがあって、
その人は彼と同じ趣味をもつ人で、センスがよくて、才能もあって、彼は彼女をとても尊敬していた。好きだった。彼女も彼のことを好きだった、んだと思う。
その人と肉体関係があったかどうかはわからないけど、あったとすればきっとじっくりゆっくりあたたかいものだったと思う。
その人はもう亡くなっていて、
彼は葬儀に参列したのか、しなかったのか。
この話は私の妄想かもしれないけど。
想像できる。ゆったりした2人の時間が流れていて、言葉にしなくてもわかる。
上等なお酒を少しずつ飲んで、
映画や音楽の話、それから共通の知人の話、ときどきお互いの家族の話…はしないかな。
彼はずっと敬語で話していて、
その人に真剣に恋をしていて、
でもその人からはうまくかわされていて。
なんだかまるで、今の私みたいだな。
そんなことを考えていると、
とても会いたくなるけど、
私はただ電車の音を聞いている。