どこまでも男と女の世界
私の職場には女性が少なく、男性は女性に優しい。男性は若い男性には厳しい。
最初はにこにこして、適当に過ごしていれば楽だった。女だから、という理由で回避できたことも、得したこともたくさんあった。
厳密に言うと、若い女だから、だ。
私は残念ながら顔はかわいくない。スタイルもよくない。持っていたのは(若い)というカードだけだった。
その職場で数年過ごすことになり、去年私は30代になった。
そのとき、ふと思った。
へらへらして、若い女だから得してきたこの職場で、若いというカードを失ったらどうなるんだろう。30代は、若いのか、若くないのか。
そのことを考え始めると、とたんに今の職場が気持ち悪くなった。ぶりっ子で媚びるいい歳の女性たち、当然のように下の名前で呼び捨てにする男性たち。
なんだ、ここは。ずっと女と男を意識させられる空間。どこかで性を感じざるを得ない空間。気持ち悪い。
そう思うようになった私は、職場での女としての役割を演じることができなくなった。
みんなおかしいと思っているようだけど、もうぶりっ子はできない。自分が気持ち悪い。周りも気持ち悪い。
私はフェミニストってわけじゃないし、ジェンダー平等をかかげているわけでもない。
だけど、この気持ち悪い空間を早く抜け出したくて仕方がないことは事実なのである。